水と縁、京都一番のパワースポット
関西に住んでいると京都はたまにふらっと。そんな中でも、意外と周りの人に尋ねると「そういえば行ったことがない」というのがここきふねさん、水の神さまを祀っているので、濁らない。そう水は濁ってしまうとダメだから。地名では貴船・きぶねと呼びます。関西では神社を発音しません、親しみをこめてきふねさん、祇園さん、天神さんと呼びます。
京都の碁盤の目から、北東に少し外れたところにある貴船。京都の大学生の定番【合ハイ】なんて昭和の時代にあって、鞍馬寺からきふね神社へとハイキングなんて行ったことある人いますよね。鞍馬寺でもきふね神社とおんなじ紅い春日灯籠が並びます。
京都の友人に言わせると「貴船は川床料理へ初夏に女の子と行くところ」と。昭和の時代はそう訳ありカップルの隠れ家だというのだけれど、今ではそんな雰囲気ではなく明るくオープンなところが不思議です。京都で川床といえば鴨川が有名ですが、上流の貴船川の川床はホントに川の上で食事がいただけます。
もの思へば 沢のほたるも わが身より
貴船神社を訪れるのなら1日かけて鞍馬寺から鞍馬山越えのハイキングがオススメです。所要時間はゆっくり歩いて90分。グーグルマップで見るとわかりますが貴船神社と若き日の源義経・牛若丸が修行した鞍馬寺は山いただきをはさんですぐ近くです。
Googleでは「小さな神社」と表記されていますが、巨大な神社です。本宮さんも、石庭があったりそこそこの敷地です。行った人ならわかるかなぁ。奥宮、中宮までお散歩すればね。
鞍馬寺も山の頂きにあるのですが、こちらはケーブルカーで登れます。そしてお寺さんから宝物殿を観て、牛若丸が天狗と修行した林を抜けて貴船川へくだって神社へという合コンコース。私は幼稚園児の子どもとこのコースで散歩しましたから、健脚でなくても大丈夫です。
貴船神社だけ訪れるなら叡山電鉄鞍馬線・貴船口駅からハイキングをオススメします。バスも出ていますが、貴船川沿い「和泉式部恋の道」を歩くこと30分。途中、休憩するのにちょうどいいお店「古今藤や」さんもありますよ。また川床料理だけをいただくなら、お店や宿によっては送迎小型バスもあります。
道は一本道で迷いません。道幅は狭いですが、貴船川を横に見ながらの涼しげな山散歩です。↓写真は越前守・大江雅致の娘で平安時代の歌人・和泉式部が歌を詠んだと言われるほたる岩です。
和泉式部への返歌に「おく山に たぎりて落つる 滝つ瀬の 玉ちるばかり ものな思ひそ」。魂が散るほど思い悩んではなりませんと貴船明神が返した歌です。
『沙石集』に和泉式部の縁結び貴船神社参拝の様子がかかれているのですが、これがすごい。巫女に縁結びの舞をおこなわせて、巫女からのご神託が衣をまくりあげて大切なところをさらけ出し、叩いて三度舞ったと。今では少しエロチックな話ではありますが、平安時代には真面目に描写されているのですから、日本は男女のなりわいも隠さない。
まぁそれによって恋を成就した和泉式部、このお話から貴船神社は縁結びの神さまとして多大なる人気があるのですね。
氣生根・きふねは万物のエネルギー気が集まるところ
京都一番のパワースポットと言われるのは、その名前から。貴船は古くは「氣生根」と呼ばれていたのです。そして貴船神社には龍穴があり気が集まり力が集まっていると。
そのパワーの源は、水。日本は水の国とも言われています。水は生命の源。そのため、きふね神社一番のパワースポットと言われているのが「ご神水」。本宮の拝殿前に沸いています。腐らない水とも言われていて、飲んでその気を感じてください。
【神水】
一、自ら活動して他を働かしむるは水なり
二、常に自ら進路を求めて止まざるは水なり
三、自ら清くして他の汚水を洗い清濁併せ容るるの量あるは水なり
四、障害に逢い激しくその勢力を百倍にするは水なり
五、洋々として大洋を充たし、発して蒸気となり雲となり雪に変し霧と化し擬っては鏡となる、しかもその性は失わざるは水なり
このご神水が流れる貴船川が見どころのひとつです。全長約3kmの短い河川ですが芹生峠を源とし、鴨川、淀川の源流のひとつです。夏にはホタルが飛び交います。
貴船神社一番の絵になるところは
紅い春日灯籠が階段の両脇にこれでもかとびっしり並ぶ本宮への参拝道が、タイトル写真のように貴船神社のイメージ写真として使われていますね。とっても絵になる場所です。ただ、本宮への階段を登り切る手前では片側しか春日灯籠はありません。↑写真
川床料理の料亭さんが立ち並ぶ道から二の鳥居を入ったところから石段が続きます。参道を登りきったところに樹齢400年、樹高約30mのご神木のカツラの木があります、↓写真。龍が昇る姿のような木で、ここもパワースポットです。この辺りひんやりとしています。
ご神木の奥南側には古代の人が祭りを行った神聖な祭場「天津磐境/あまついわさか」をイメージした石庭があります。玉依姫が黄色い船に乗ってこの地にきたという伝説に因み船のカタチをした庭で、黄色い砂で「黄船」を表しています。
山裾全体が神社なので本宮の境内は、それほど大きな感覚はありません。ただここ本宮だけでなく、少し北にハイキングした先に中宮、奥宮があります。また一の鳥居は貴船口駅よりも南にあります。この周辺には山なのでコンビニなどはありません、歩きやすい靴と水分と食糧おやつはお忘れなく、子どもが駄々をこねますから。
名神大社二十二社の一つ
長暦3/1039年、後朱雀天皇の制定による名神大社二十二社。天変地異がおこると、天皇からの勅使がおくられるのがこの22社。
水は疫病を流すと日本では考えられていて、水は大切なものと。また穢れを流すのも、水と。悪意を持った人たちが水を狙うのも、その重要さゆえ「名神大社」に。ただし、この「名神大社」もいろんな理由で入っていたり、入っていなかったりと。平安時代中期の『延喜式神名帳』では「安芸国佐伯郡 伊都伎嶋神社」と記載されて名神大社に、平家ゆかりの厳島神社が入っているが、その後はずされている。これを今の時代は大人の事情と呼ぶ。
これは大小神社の首班に列し、その上を二十二社としたもので、貴船神社も22の神社の一つです。この中には京都なら石清水八幡宮、賀茂別雷神社・上賀茂神社、賀茂御祖神社・下鴨神社、松尾大社、平野神社、伏見稲荷大社、大原野神社、八坂神社、北野天満宮、梅宮大社、吉田神社ですね。つまり半分は京都にある。
五世紀初め反正天皇の代、玉依姫が水源の地を求め、黄色い船に乗って淀川、賀茂川を遡り、この地にきて祠を建てたのが貴船神社の創建とされています。
絵馬のはじまりはここ貴船神社から
神社に行けば必ずあるものが「絵馬」。元々は雨乞いをするとき、逆に大雨による洪水など天災を避けるために祈る時に、水をつかさどる神さまである貴船神社に、馬を捧げていました。それが実際の馬ではなく、木板に描いた馬に変わって、絵馬となった。そのはじまりがきふねさんなんですね。きふね神社の絵馬には、その黒と白の馬が描かれた絵馬と、和泉式部の絵馬、そして龍穴から舞う竜の絵馬があります。
貴船神社 〒601-1112 京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
アクセス/おけいはん電車「出町柳」から叡山電鉄「出町柳」から「貴船口」まで約30分430円がたのしくて一番オススメです。特に紅葉のシーズンはベストコース、もみじのトンネルの中を電車がゆっくり走ってくれます、これスゴイです。叡山電鉄「貴船口」からはきふねさんまでバスもありますが。約2キロほどをハイキングされることをオススメします。京都観光を贅沢にとは思いますが、ここ貴船だと四条の街中まで距離がありますから、貴船さんと鞍馬寺で1日終わります。叡山電鉄沿線でオススメは、宮本武蔵の八大神社さんとそのお隣にある詩仙堂さん。それとあまり教えたくないのが瑠璃光寺さん。