宙に浮いたパワーストーン
「宙に浮いた巨大隕石が兵庫にあると聴いたけど、君知らない」と言われたのが大学生の頃。なんでもその巨大隕石が落っこちたのでその弾みで六つの山ができたらしいんだ、とも秋田県の友人はいう。東北にもおなじようなものがあるという。
確かに六つの兜を重ねたやまってことで六甲山はあるけどなぁ。六甲山山頂はアメリカ軍の軍事施設だから登れないのよぉ〜残念。「えぇ!軍事施設!それってUFOなんて飛んでない?」と食い下がる友人。当時インターネットがあれば、検索で探し出せたのだけれど、、
そやなぁ、僕もUFOなら見たことあるけど、それってアメリカ軍の飛行機かなにかだろぉ〜それに宙飛ぶ石はみたことないなぁ。当時はまだ六甲山山頂は、アメリカ軍の施設があり、僕が子どもの頃はよく六甲山のUFO話しが囁かれていた。ぼくも彼も正気である、1980年代の話しである。返還されたのはつい最近の1992年。でもまだUFOは飛ぶと地元では囁かれている。
彼はその宙飛ぶ石を観たいと言うが、なんだか周りの人に聴いてもバカにされるだけで、そのまんまになっていた。それからしばらくして、姫路の友人にここはパワースポットで、一度は行かなければならないと無理矢理連れていかれた場所が、とある神社。
そこそこの道のりを歩き、そして山を登ったのではあるが、まぁ普通の神社だと思っていたら、その御神体のお姿がキテレツだった。なんと巨石が宙に浮いているのだ。それが御神体だと言う。その時はなにかおそろしい気が漂っていて、なんだか写真すら撮れなかった。
一見水のうえに浮いているかのようなパワーストーン、これだけでも不思議。俗に浮き石とよぶのは石工の専門用語で、岩にひびが入る、つまり割れ目が出来ることを意味している。石の宝殿と土台石との間にひびが入っている。500トンもの1枚岩でできた巨石はパワーストーンとしては圧巻で、触ることもできる。落ちない石ということで、受験生には人気のパワースポットなのだとも地元姫路の友人は言う。
おおなむち すくなひこなのいましけむ しづのいわやは いくよへぬらむ
「大汝(おほなむち)と、少彦名(すくなひこな)がいらっしゃった志都(しず)の石屋(いわや)は、どれくらいの年月を経たのでしょう」と、万葉集にも歌われている石の宝殿/ほうでん。このあたりは「竜山石(たつやまいし)」という良質な硬い石の採石場として有名な地域で、古墳時代から天皇の石棺の材料としても使われている石で隕石ではない。竜山石=王石というのはこのあたりの特産品、それが奈良で石棺として使われている。でもここからどうやって奈良まで運んだのか?一説には、目の前を流れる法華山谷川を使い筏を組んで海へ巨石をはこび出したのではないか、と言われています。
長崎出島のオランダ商館にスパイとしてやってきたドイツ人医師のシーボルトもスケッチを残している。古墳時代の石棺は実は姫路城の城壁にもそのまんまのカタチで使われています。今度紹介しますね。しかし、、である古墳時代の鉄の工具でこんなカタチに細工が出来るのか?
二度目に行った時、曇っていた天気がお山に到着したとたんに晴れだし、そして巨石の背後から西に沈む太陽が斜光として入ってきて、それは神々しい感じなのだ。事故もあとの後遺症で痛い身体から、力が溢れてくるような気がしてくるのだ。不思議なことに。
超パワーストーン
500トンもの1枚岩でできた巨石はパワーストーンとしては圧巻で、触ることもできる。落ちない石ということで、受験生には人気のスポットなのだとも地元の友人は言う。三方を断崖に囲まれ、池の中に石殿がよこたわり、石の上には樹木が生い茂る。四方三間半、6.36m棟へ二丈六尺7.87m.
巨石の周りは掘り込まれていて、石の下は水があり確かに浮いている。その向こうには小高い山頂に広場があり、そこからの眺めが晴れてくれて最高だった。そして東を観ながら、気がついた。むこうは、六甲山系である。もしかして。
後日、六甲山に登って尾根づたいに西から宝塚へ行く途中、六甲比命神社、越木岩神社、廣田神社というのがあり、そこがこの宙に浮いた巨石の神社から東に位置する、つまり太陽が出てくる所と知り、なんだか合点がいった。そして秋田の友人が僕に言ってたことが本当の話しなんだと。
●生石神社(おうしこじんじゃ)宝殿山山腹にある神社で「石の宝殿」と呼ばれる巨大な石造物をご神体とし、宮城県鹽竈神社の「塩竈」、鹿児島県霧島神宮の「天逆鉾」とともに【日本三奇】のひとつとされている。
「石の宝殿」は、平成26/2014年10月に国の史跡として指定されました。名称は「石の宝殿及び竜山石採石遺跡」で、周辺の竜山石採石場も含めた史跡で7世紀の採石技術を知る上で重要な遺構。
所在地/兵庫県高砂市阿弥陀町生石171
主祭神/大穴牟遅命、少毘古那命
生石神社の背後の山頂は平たく、西の姫路を望む