他国から二度も潰された淵神社
元は妙見社、背後の宝珠山は虚空蔵菩薩と玄武神が祀られていたのが戦国時代。その戦国時代に入ってきた旧教のキリスト教が長崎がイエズス会の領地になると、焼き討ちにあい荒廃します。江戸時代にこの地に来た開基・龍宣さんが寛永11/1634年に「宝珠山万福寺」を開山し、のちに弁才天を合祀して「稲佐弁天社」として再建されます。
明治新政府の神仏分離令で、田心姫命/タキリビメノミコト、市杵島姫命/イチキシマヒメノミコト、湍津姫命/タギツヒメノミコトを祭神として、現在の社号「淵神社」へ改称されています。仏像群、仏具類は長崎裁判所におくられたそうです。
明治に入るまでは、神社とお寺の境はなかった。宗教施設は地域の人たちの心の支えとして、一箇所にあったわけですね。昭和20/1945年8月9日、アメリカのB29爆撃機より投下された、たった一発の原子爆弾により、荘厳な正殿は無残に倒壊。二度目の荒廃です。今の社殿は昭和35/1960年に、無骨な鉄筋コンクリート造りで生まれ変わりました。3度目の破壊はされないぞという感じがするのは私だけでしょうか。
福山雅治さんの聖地「宝珠幼稚園」
神社、お寺さん、キリスト教会には、つきものな施設は？ あなたも通ったかもしれない神社・教会の敷地内にある幼稚園、保育園。淵神社を訪れる、淵神社前バス停から石の鳥居をくぐり階段を上って行くと、宝珠幼稚園が。園庭には引退したロープウェイのゴンドラが余生を過ごしています。
聖地巡礼が今の流行りの旅ですが、福山雅治さんが通ったこの幼稚園や淵中学校淵神社から北へ500mほど、などがファンの方々のパワースポットのようです。私が淵神社を訪れた時にも聖地巡礼の方がおられました。
ご利益ありそうな神社の境内にロープウェイ駅
長崎観光で絶対に外せないのが稲佐山へ登って世界三大夜景を観ること。お山にはクルマでも登れますが、旅行者ならここ淵神社に参拝して、ロープウェイで山頂へ。営業時間は9:00～22:00で、淵神社駅～稲佐岳駅大人往復1250円、中高生940円、小学生幼児620円。定員は31名で所要時間約5分。
キリシタン神社がある淵神社
拝殿左手奥のロープウェイ駅に近いところに日本には三社しかないキリシタン神社があります。日本のキリシタン神社として公認されているところは長崎市の枯松神社と桑姫社と伊豆大島のおたいね明神です。
キリシタン大名・大友宗麟天正15/1587年他界後、その妻ジュリアとともに、次女の娘・マキセンジアがこの地に移り住みます。彼女は桑を植え、養蚕を周囲の人々に広め「桑姫」と呼ばれるようになります。この地域への貢献を讃えて、代々浦上淵村の庄屋を務めた志賀家子孫の手で神社として祀られることに。
日本には死んで神社に祀られる方がいますね、菅原道真公、和気清麻呂公、楠木正成公、豊臣秀吉公、、それとおんなじですが、特筆すべきはキリスト教徒であったマキセンジア・桑姫が祀られている。そして社にはマリア様が。これぞジャパン、ニッポンと感動しますが。
爆心地から1.7キロの地、原爆炸裂時に猛烈な熱線で焼かれたため、北東側の幹が黒く変色した「被爆クスノキ」がどっこい生きてるぞ、と叫んでいます。
世界三大夜景に一番近い神社
淵神社〒852-8012 長崎県長崎市淵町８−１
