日々の暮らしを支えてくれるお山に
日本人は畏敬の念を抱いてきた
「山岳信仰」は古くから日本各地にある、「お山」と呼ばれる神聖なおもひ。海に生活の糧を得るものは、海から見える山や自然を見て方角や天候を知り、平野にくらす人たちは山からの風や雲で天候を知り、豊作を願いました。「お山」には霊的な力があると信じられていて、それが私たち先祖から伝わる自然の恵みだから。山には神が宿ると。
富士山はよっつの山が噴火で重なり合って、富士山の今のカタチに成ったと地質学では言われていますね。ふたつ二つで4体のお山、二二山とも書きますが、日本に二つとない不二のお山に。日本語とは素晴らし表現をしてくださいます。22で富士山は2022年はあたり歳かな。
日本一の高さを誇る富士山は、日本人なら誰しもが好きな山であり、信仰とまではいかないまでも、思わず写メを撮って待ち受け画面にしてしまう。そうすることで御利益がありそうな気がするからで、そうする。「お山」の代表は霊峰・富士山でしょう。
また山は結界をはる場所として良く、そのために霊山という山が日本各地にありますね。結界はあの世とこの世の交わるところ、龍や幸運が飛び出てくるところとも言われ、そのご加護にと人は集まる。仏教の聖地、高野山も比叡山もお山だしね。
神聖な場所として山を崇拝する信仰は、世界の他の国にもみられます。ただ、日本のように信仰の山に登ることによって神や仏と同一化するといった思いは他の国ではないようです。西洋かぶれの人たちの間ではアルピニストとか横文字でカッコよく登山はヨーロッパから始まった、なんて嘘をいう人もいて笑います。日本では登山は信仰の証で、誰もがお山に登った。そこに山があるからだ、なんて哲学ではなくて、ただ神さんにお会いできるから山に登っただけ。
ふじ登山が最も流行したのは江戸時代
山岳信仰の山に登るのは、男子と限られています。霊山の奈良大峰山/山上ヶ岳に登れるのは、今でも男性のみ。女人結界がはられて居て、女性はそこから先は近づけない。同じように富士山もそうでした。
しかし、江戸時代に富士山信仰が江戸の町で大流行して、町ごとに競い合うように富士山へ登ったと言われています。そのために講という組織をつくり、町の人みんながお金を出し合い、そしてくじ引きなどによる選考で町の代表者として富士山へ登らせたと。お伊勢参り、金毘羅参り、熊野詣でなどとおんなじですね。
その「富士講」が盛んになると、女人禁制を破って富士山に登る女性も現われました。記録では天保3/1832年10月、江戸深川生まれの町娘の高山たつさんが雪の舞うなか登頂に成功したと。ただ富士山の女人禁制が解かれたのは明治5/1872年です。
災より 立ち上がらむとする人に
若きらの力 希望もたらす
富士山本宮浅間大社/ふじさんほんぐうせんげんたいしゃは、静岡県富士宮市の町中にある神社で駿河国の一宮です。全国に約1,300社ある浅間神社の総本社でもあります。富士山を神体山として祀る神社であり、境内は二つあり、本宮は富士宮市街地にある富士山南麓で、奥宮は富士山頂上にあります。
富士山のパワーを感じられるところとして、今では女性に人気の神社として有名ですね。ここにお詣りして、良いご縁に恵まれたということをサイト上でもみかけますし。確かに何ヶ所かひかれる場所があります。私がそのパワーを感じたのは、社殿に入る前の門前にある「鉾立石」↓と「湧玉池」。鉾立石はここに富士山の山宮へ御神幸の際に鉾を立てた石だそうです。
「山頂の信仰遺跡群」の一部として世界文化遺産に登録されています。「浅間」の語源については諸説あります。長野県の浅間山のように火山を意味するとも。火山噴火などの自然災害を鎮めるため、またそれにより命となった人たちに祈るために神社が存在するのかもしれません。
主祭神は木花之佐久夜毘売命/このはなのさくやひめのみこと、別称を浅間大神/あさまのおおかみ。
つかふべき数にをとらむ浅間なる
御手洗川の 底にわく玉 平兼盛
何年もの歳月を経て、富士のお山から溶けた雪が水となり、この地にわく玉。キセキの水とも言われています。国の特別天然記念物にも指定されているこの湧玉池/わくたま池は、霊峰富士山からの雪解け水が溶岩の間から湧くお水で水温はいつも摂氏13度。1分間に144キロリットル湧くと言われています。富士道者はこの池で身を清めてから登山する習わしになっています。
またこのキセキの水を使った神秘的な占い「咲良みくじ」が人気です。サクラ御籤は湧玉池横の水屋神社前で後霊水にみくじを浸して、占うというものです。デザインも素敵で実は蛇腹折りにしてそれをおみくじですから縄に結ぶ、そして開くと富士のお山に。
富士山本宮浅間大社 所在地/〒418-0067 静岡県富士宮市宮町1−1
アクセス/身延線富士宮駅より徒歩約10分