熊野本宮大社は過去「熊野坐神社」
熊野三山の中でも古式ゆかしい雰囲気を漂わせているのが熊野本宮大社。かつて、熊野川・音無川・岩田川の合流点にある【大斎原/おおゆのはら】と呼ばれる中洲にありました。音無川の冷たい水で最後の水垢離を行って身を清め、神域に訪れたのです。
それが明治22/1889年の8月に起こった大水害が本宮大社の社殿を呑み込み、社殿の多くが流出。水害を免れた4社を現在の熊野本宮大社がある場所に遷座しています。かつて多くの人々の祈りを受け止めた大斎原は大きな鳥居がある向こうです、パワースポットなので是非ここも訪れてみてください。
現在の社殿は大斎原から10分、「熊野大権現」の奉納幟と杉が立ち並ぶ158段の石段をのぼる場所にあります。正面に4社あり、向かって左から東御前の天照大神、證誠殿の家津美御子大神=素戔嗚尊、中御前の速玉之男大神、西御前の熊野夫須美大神。
熊野三山のなかでは本当に山の中
私は何度も熊野本宮にはお参りさせていただいております。というのも、熊野市街での仕事がありクルマでの帰り道に立ち寄らせていただくのです。なぜか祭礼の時に出くわすことも多く、ありがたさを感じます。
紀伊半島の南部、熊野全体が神域のようなところですから、何かしらの力のようなものは感じるのですが。この地域でよくおみかけするのが山伏の方々。修行をする山々がこの地にあるからでしょう。
ここに来るといつも不思議なことが
いつも熊野本宮へお参りさせていただいた時に、不思議に思ったのは現代の神社らしくない感覚がわくことです。それは自然豊かな懐に抱かれる感じ。そして仏教色も感じる。本宮の宝物の中には曼荼羅絵図もあります。つまりは、神道と仏教を分けることなどはなからこの国日本では意味がないことなのだ、と感じるのです。
熊野本宮の主祭神は、熊野那智大社や熊野速玉大社とは異なる家都美御子大神です。古くは「熊野にいらっしゃる神」と呼ばれ、造船術を伝えられたことから船玉大明神とも称せられ、古くから船頭・水主たちの篤い崇敬を受けていたそうです。
熊野本宮大社 〒647-1731 和歌山県田辺市本宮町本宮1110