美しいものには
最も美しい城と言われる姫路城。名前からして女性的な姫のみちの城。神代の昔、大汝命は我が子・火明命があまりに乱暴者なので、海へ出たついでに捨ててしまおうと、とんでも無いことを考えます。まぁ神話ですから。子どもを島に置き去りにして船出。ところが、船が出てゆくのに気づいた火明命は怒り、風波を起こして船を難破させてしまいます
難破船が行き着いた先が「日女道丘/ひめじおか」で、姫路城のある姫山ではないかと言われています。神話にはとんでもない話がありますね、不具で生まれた我が子を淡路島から流し、その子がえべっさんであるとか。まぁ今の感覚から言えば、えぇ、なんてことをという事が書かれています。
吉原随一の女性を落とした榊原さん
女性の名前がついた地名であるがゆえに、お城も女性のようにもみえます。姫路には女性にまつわるお話が数多くあります。播州国・姫路の人なら一度は行ったことのあるお祭りが「ゆかた祭り」。それを考えた風流な姫路城主であった榊原政岑公。信仰心に厚く、日光代参の希望が幕府に聞き入れてもらえずに、吉原の女性に走ります。
男性なら分かります、頭を権力で小突かれてギャンブル、酒、女性に走る姿。そして吉原で最も美しいと言われていた名妓・高尾を落籍。姫路に連れ帰って、城内西屋敷に住まわせます。当時の江戸幕府は倹約令を出していた手前、姫路城主を解任、榊原家は越後高田へ転封とあいなります。
大天守最上階にある刑部神社
姫路城はいまだに妖怪が出るという話があります。私も子どもの頃に聴いたことがあります。江戸時代初期の剣術家「剣豪」と名高い宮本武蔵は播州の出ですが、姫路城の番をしていたことがあります。武蔵がある夜、灯ひとつを持って天守閣に登り、3階の階段にさしかかった時、すざましい炎が吹き降り妖怪が現れます。ただ武蔵が剣に手をかけると静まります。天守閣で明け方まで番をしていたところ、美しい姫が現れ「われこそは当城の守護神【刑部明神】なり。その方がこよい参りしため、妖怪は恐れて退散したり。よって褒美にこの宝剣を取らす」と郷義弘の名刀を残して消えます。姫路城大天守最上階には刑部神社が今はあります。
中島みゆきさんじゃああるまいし「恨みまぁす」
姫路城に来られた方なら、知らない人はいない【お菊さんの井戸】。 1504年から1521年の永正年間に青山鉄山が城の乗っ取りを計画。これに気づいた忠臣の衣笠元信は、お菊を青山家に女中として送り込み、陰謀を暴きます。お菊さんは一説にはくノ一、忍びの者だったという説もあります。しかし、青山一族がまんまと姫路城を乗っとります。
怨念を残して殺されたお菊さんは幽霊となって化けて出ます、そんな話が『播州皿屋敷』。子ども心に、だから私の母親もはじめ播州国の女性は、強くて男まさりなんだと。ちなみにお菊さんは【於菊大明神】として十二所神社に祀られています。
姫路城を借景に好古園
元和4/1618年造営の西御屋敷、武家屋敷等の遺構をそのまま生かして作庭された総面積3.5ヘクタールの池泉回遊式庭園群が好古園。九つもの日本庭園があり、見どころ満載。特に紅葉の時季はおすすめ。庭園入口には長屋門・屋敷門、園内には渡り廊下など江戸時代の建築が再現されていて、映画や時代劇の撮影地にもよくなっている。映画『るろうに剣心』にも登場する好古園。
実は歴史は最近の庭園
平成2/1992年4月29日に開園した好古園。一番の見所の庭は入ってすぐの「御屋敷の庭」で、瀬戸内海を模した大池には色鮮やかな錦鯉が優雅に泳いでいます。渡り廊下を行くと潮音斎、そこからは姫山樹林を借景とした大滝が見え、モミジやクロマツとのコントラストを楽しむことができます。紅葉はいつも11月末近くですが、20日前後で紅い時も。
紅葉する時季はライトアップも開催されて20時まで楽しめます。姫路城天守への登城のセットチケットがお得です。姫の町の噂では、外国人観光客がわやするので、日本人料金よりも外国人料金を高くして、お城の整備費用に充てようというおふれが、知らんけど。まぁ他国では、外国人料金で高く取るのは当たり前だけど。
好古園〒670-0012 兵庫県姫路市本町68
開園時間/9時00分~17時00分
入園料/大人310円 高校生まで150円
Combination Ticket +登城券つきは大人1050円、高校生まで360円