なぜだか宗教施設は集まる？
子ども心に、なぜ神社に行けば弁天さんがいたり、鯛を持った人がいたり不思議なことでした。夏の海水浴に連れていってもらった宮島には平清盛さんが造った海に浮かぶ社殿の向こうに五重塔がある。神社なの？ お寺さんなの？ え！ その厳島神社を見下ろす豊臣秀吉の豊国神社が神さまの頭の上にあるの。
社会科の先生に中学時代にこの不思議を尋ねると「宗教施設はどう言うわけかひとところ集まる。お寺さんの隣に神社があり、その隣にはキリスト教会があると言うふうに。ただ日本の神社にたくさんお社があるのは、その地域に祀られてあった神社の存続があやしくなると、それを引き受ける他の神社があった」。
「また神仏分離令が明治時代に発令されて、お寺さんと神社を区別するようになりおかしくなった。神社で七福神を祀ってはいけないとか、神社に紅い色は使ってはいけないとか、法律に神社やお寺が翻弄されていった。宮島の豊国神社は、秀吉が戦死した武士の魂を鎮めるために造ったお寺さんが、明治時代に豊国神社に変わったんだよ」と。
播州のいろんな神さんが大集合
総社さんの名前の由来は悲劇の安徳天皇、養和元/1181年に、播磨国の大小明神174柱の神々を併せ祀っているから【播磨國総社】。
ですから、総社さんに詣ればあらゆる神さまにお会いできるのです。本殿の北側に「東播磨8郡」の長い社、その隣に「西播磨8郡」の長い社が鎮座します。その東隣には厳島神社、琴平社、富姫社、長壁社、稲荷社とお社が続きます。
本殿にいらっしゃるのは、射楯大神/いたてのおおかみと兵主大神/ひょうずのおおかみの二柱の神さま。
兵主大神/ひょうずのおおかみの神さまは大国主命、縁結びの神さまとして超有名です。ここ総社さんには「ひめじ縁結び通り」があり、「噂の恋づし」という51個のハートをデザインしたプレートが大鳥居から本殿まで続いています。
射楯大神/いたてのおおかみの神さまは五十猛神、スサノオノミコトの御子神です。全国に樹木を植えて日本を緑豊かな国にされた神さまです。
国宝世界遺産姫路城をご覧になる前に総社さんへ
姫路のお宮さんといえばここ播磨国総社。観光で来られた方がこちらまで足を運ぶことは少ないですね。播磨国総社のある姫路城の東側は文教地区で基督教系の賢明女子学院中学校・高等学校、淳心学院中学校・高等学校があり、美術館や図書館、公園がありと。桜のシーズンは城内はお花見の観光の方々でいっぱいだけど、こちら東御屋敷跡公園も大きな桜の木々があり地元ロコはこちらでお花見しています。
ほんとおおらかな播州人らしい落ち着いている場所。姫路らしい、といえば言える一角、桜の季節にぜひ。姫路城周辺は広く、またコンビニなどのお店が極端に少ないです。姫路駅から城を目指し歩く大手前までのみゆき通りの商店街での準備をおすすめします。今どきは、商店街は東京以外ではさびれていますが、姫路は別格、とっても昭和のにほいがあるお店が続きます。
姫路城からだと一番に目につくのが紅い三層の総門。その南側には「血の池跡」があります。江戸時代に池と能舞台があり、そこで人々が抜刀して踊り舞う「刀劔おとり神事」と呼ばれる旧暦7月の夏の恒例行事があり、そのお祭りで刀を抜いて踊り合うわけですから、もちろん刀で身体に傷がつく、その止血に使った水がこの池の水ということ。総社さんの境内の池で、池で傷を洗うと止血するのが早かったと。
昭和51/1976年に埋め立てられて、総社公園になっています。昔のお祭りというのは、けが人も出たりする豪快なまつりも多く、今では安全面を考えてとのことでしょうが。人の心のどこかには、危険なことをしたい、爆発したいという気があるんですね。
刀を振り回して踊るお祭りだけでなく、総社さんでは20年に一度の【三ツ山まつり】60年ごとの【一ツ山大祭】という珍しいお祭りもあり、現在も続けられています。
城主から【姫路城鎮護の社】と崇敬された総社さん
姫路城中曲輪の東のこの総社さんの西門筋には姫路城の城郭門である「総社門」がありました。ただ道路開発工事のために取り壊されています、今でもその礎石が道路上にあります。その道路よこにあるのが真っ赤な「総社御門」↓。高さ16m、幅26mの3層で国内最大級の楼門で、二階は【三ツ山まつり】の資料を展示している文化財展示室になっています。
播磨国総社 〒670-0015 兵庫県姫路市総社本町１９０
営業時間 5時00分～19時00分
