炎上
『平家物語』に清水寺炎上が描かれています。当時、寺院というのは兵を持つ武装組織の面も持っていました。お寺さんが政治を動かす力も持っていた。写真はそれとは関係なく清水さんの秋の素晴らしもみじした楓ですが。清水の舞台から人生一度は秋の紅葉を楽しんでくださいね。桜の季節も良いですよ。
「比叡山の僧侶たちに、平家を追討するよう、後白河院が命じた」という噂が立ったのです。そこで平家一族は六波羅に迎え撃つために集結しました。取り繕うため後白河院も急ぎ六波羅に行幸。
しかし、延暦寺の僧侶たちは平家の六波羅を襲撃することはしませんでした。まぁ六波羅には後白河院もいたからか。比叡山の僧侶たちは、六波羅から東の音羽山清水寺へ押し寄せると仏閣や僧坊をことごとく焼き払ってしまったのです。
清水寺を燃やした翌朝「観音火坑変成池はいかに/本尊の観音菩薩は火難から人々を救うというが、今回のことはどうだ」と書いた札を大門の前に立てた。すると翌日「歴劫不思議力及ばず/観音の力は人知で測れるものではなく、今回の焼失も人がどうこういえるものではない」と清水さん側から返しの札が立っていた。
ほかの人たちがしていることを、自分にも周りが期待していると思い込ませる世論誘導
清盛公はこの後「後白河院が六波羅へ御幸したのはとてもおそれ多いことだ。かねてより平家討伐を考え、それを言葉にしていたから、このような噂が立っているのだろう。そなたも院に心を許してはならない」と。
そして主役である後白河院は「それにしても世の中は不思議な噂をたてる。そのようなこと、思ったことすらなかったというのに」と。
後白河院につかえる西行は「『天に口はないが、人の口を使ってものを言わせる』と申します。平家があってはならなぬほど過分な地位におりますので、天が慮ったのでしょう」と。
つまりは、低い身分だが有能な平家が活躍、出世しているのを苦々しく思う。気位だけが高く自分たちの利得しか考えない公家さんたちが裏で囁いていたのかなぁ、いつの時代も同じだなぁと私なんかは思いますが。
宗教というのは同じとみえても、宗派で争うもの
天皇崩御の時に辱めを受けた延暦寺が、その相手であった宗派と同じ清水寺を焼き払ったという。いまでは不思議なことですが、仏教でもこうした確執がある。キリスト教でもカソリックとプロテスタントは仲が悪い。まぁ日本で宗教施設に入る時に、同門では無いからと断られたことはありません。日本ではキリスト教だから神社仏閣への参拝を拒否することも、まぁそうしている方もいらっしゃいますが、あまり見ることはありません。そんなこと言っていたら、歴史勉強も観光もできませんから。
日本では桜が咲けば、あぁ醍醐寺さんへ太閤さんのお花見だし、秋のもみじは東福寺さん、天神さん。いや今年は清水さんへ。そんな時に、えぇっと私は◯宗で、あぁここは行かれへんなんて、誰が言いますか。
これが和を持って尊しとする精神ですよね。一千年以上前からこうした散々なことをやらかした日本人は今の時代、宗教の違いなんて気にかけませんね、宗派や宗教を信じる信じないなんてで人を評価するのは下衆のやることサイテイなん。だから天下泰平を維持できた。
「清水の舞台から飛び降りる」
私もはじめて新車を買う時に、銀行から封がしてある一万円札たばを持ってディラーに出向き、こう言いました。清水の舞台から飛び降りる気分だねと。
清水の舞台の高さはおよそ13m。ここから飛び降りた人たちがいたことにも驚きですが、その人たちは何を思って飛び降りたかというと病気回復などの願掛け。
清水寺の本堂を建てたのが坂上田村麻呂。宝亀11/780年、田村麻呂は愛する人の病気を和らげる薬を求めて音羽山にやってきたとき、清水に導かれ修行中の賢心に出会います。賢心、後の延鎮上人から殺生の罪を説かれその教えに感銘を受けます。その後、自らの邸宅を寄進した田村麻呂は、千手観音を御本尊として寺院を建立し、音羽の滝の清らかさにちなんで「清水寺」と名付けます。清水寺の元祖は行叡、開山は延鎮、本願が田村麻呂となっています。
そう昔の人は病のために、手を尽くした。その助けになった、気を癒してくれるのが宗教だったのですね。
清水寺一番のパワースポット「音羽の滝」
清水の舞台から左手を見ると滝が流れています。夢で「北へ清泉を求めていけ」と告げられた賢心、後の延鎮上人は音羽山の地にたどりつきます。そこで仙人に出会い、霊木を授けられて、千手観音像を造り音羽山を守るようにと命じられたといいます。この時に見つけた泉が現在の「音羽の滝」。
延命の水、とも呼ばれていて写真のようにこぞって滝の水を皆さん飲んでらっしゃいます。夏場などはホント冷たくて、喉を潤すには最高の柔らかいお水です。私たち親子はこの近くにあるお茶屋さんでかき氷を食べるのが好きです。
境内は広大で、四季折々の風情が楽しめ散歩するには最高です。清水さんと周辺だけで一日すぎてしまいます。周りには五重の塔、女の子に大人気の庚申さんと見どころ満載。
清水さんの見どころの一つに夜間のライトアップがあります。春、夏、秋の年3回あり必見です、2022年夏は8月14日〜16日(千日詣り/本堂内々陣特別拝観)秋は11月18日〜30日。
音羽山清水寺 京都府京都市東山区清水1丁目294