滋賀県の紅葉の名所としても1、2を争う場所として有名な三井寺。紅葉のベストワンツーは個人的には比叡山とこの三井寺だと思うのですが、この二つのお寺さんは同じ宗派なのですが深い確執があります。
歴史的には古くからの古刹で「談合」の言葉の元となった事件、無事故645の大化の改新からです。
軒反りの美しい檜皮葺きの屋根
お寺さんの屋根といえば瓦屋根が普通ですが、三井寺の仁王門や金堂はひわだぶきの珍しい屋根です。古いお寺さんですから仏さまも豊富で、美しい仏像が数多くあります。
日本三銘鐘の一つとされているのが「三井の晩鐘」。このあたりの紅葉も美しいです。そして鐘の音もホント、澄んだ音です。冥加料300円を支払えば誰でも素晴らしい音色の鐘を撞くことができます。
三井寺が顕教・密教・修験道の兼学道場として発展させた「智証大師円珍」。帰国後に三井寺に唐院を建立、唐より持ち帰った大量の経典などを納めました。そして、比叡山延暦寺と肩を並べるほどの大寺院になっていくのです。しかし、これがのちに延暦寺との確執を生むのです。お寺のお坊さんも人の子、権力志向なのですね。どちらが偉いかなんて、笑っちゃいます。
東大寺・興福寺・延暦寺と「本朝四箇大寺」と呼ばれた時代もあったほどの古刹である三井寺
667年、近江大津に遷都した中大兄皇子は、翌年即位して天智天皇に。その後継争いのため、弟の大海人皇子と、息子の大友皇子が皇位を争う古代史最大の内乱「壬申の乱」が勃発し、大海人皇子が勝利。後の天武天皇となります。
大友皇子の子・大友与多王は、父の菩提を弔うため、天智天皇が所有していた念持仏の弥勒菩薩像を本尊とする寺院の建立を発願し、天武天皇に許可され686年にできたのが三井寺/園城寺。
今では三井寺という方が通りがいい。なぜ三つの井戸の寺なのかは、境内に湧いている井戸の水を天智・天武・持統の三帝が産湯に使ったから。ほんとは三つでなく「御井の寺」。この名前すごいなぁと思うのは私だけ?
古いお寺さんですから、これだけではない歴史があります。三井寺の北にあるのが比叡山。内部対立により、比叡山を「山門」三井寺を「寺門」と呼ぶようになり、中世期まで対立は続き比叡山からの焼き討ちに何度も三井寺はあっています。
三井寺だけでなく周辺もみどころが
うさぎの神社として卯年の人なら一度は行きたいのが三尾神社。三尾明神が太古、卯の年・卯の月・卯の日・卯の刻、卯の方より出現されたという言い伝えにより、昔から「うさぎ」は神様のお使いとされています。うさぎづくしの神社ですので、ホント面白いです。
この横を流れるのが琵琶湖疎水。京都の水確保のために明治18/1885年に着工したのがこの疎水。なんと京都府の年間予算の2倍の巨額の費用と5年の歳月を費やし造られました。南禅寺にある煉瓦アーチが有名です。
三井寺 滋賀県大津市園城寺町246
宗派/天台寺門宗
本尊/如意輪観音(重要文化財)
創建/672年
開基/大友与多王
拝観料/500円
アクセス/京阪電鉄石山坂本線「三井寺駅」徒歩7分