日本でお山といえば富士山、高野山、比叡山
弘法大師空海に高野山を授けた神の丹生都比売大神・にうつひめのおおかみをお祀りするこの神社は、天野盆地に1700年以上前より鎮まる神社です。真言密教の聖地・高野山へ参詣するときは、必ずこの神社⛩にお参りしてから、お山をめざしました。
高野山という名の峰はないのですが、これは日本の山ではよくあること。阿蘇山、大雪山や六甲山は山やまの総称名のこととおんなじ。四方を八つの山に囲まれた標高900mの髙山にある盆地を高野山と呼びます。阿蘇山の火口外輪山や六甲山頂と同じ標高に、密教の聖地はあると。
紀ノ川より高野山を目指し紀伊山地に入ると、標高450メートルの天野盆地に日本最大の厄除け超開運パワースポットと呼ばれている丹生都比売神社があります。ハイキングコースのようなのどかな道を登山姿の方も多いです、そしてその先が高野山です。
地図上では山の標高が分かりませんから、クルマならすぐだと勘違いします。しかし紀伊半島の山は手強いです。葛折りを、標高400mまで登ります。そのしずかな里にこの神社はあります。
宮島嚴嶋神社とおんなじ両部式⛩をくぐり、豊臣秀吉の側室であった淀君が寄贈した輪橋を渡るとなぜだか風が吹いてきたような神聖な気があふれてきます。二つ目の橋↖︎とまた両部式中鳥居⛩。くぐると一気に視界が広がり、室町時代1499年に建立された立派な入母屋造・檜皮葺きの楼門が現れます。そして広い境内には犬が。
神さまのお使いは犬🐕
伏見稲荷大社と言えばお狐さんの様に、神さまのお使いをけんぞく・眷属と言います。
弘法大師空海が、唐の浜辺より真言密教を広めるための場所を探しておくれと法具の三鈷杵/さんこしょうを日本に向けて投げます。
密教の根本道場の地を求めて紀州の山にたどりついた弘法大師空海。山中で黒と白の犬を連れた、狩人に化身した神・高野御子大神/たかのみこのおおかみと出遇います。
その黒と白の紀州犬たちが、空海を山案内するのです。そして現在多宝塔が建つ横にある松にたどり着き、ここ惚れワンワン。見上げると、なんとその松の枝に三鈷杵が。
そしてこの地・高野山盆地を、修行の場所と決めたのです。三鈷杵があった松には同じ三葉の松の葉が芽吹きます、縁起がたいそう良いと言われ「三鈷の松」として有名です。この松の周りにはいつも人が居て、楽しそうに三葉の松の葉を探してます。この葉を持っていると、お金に困らないと。
『金剛峯寺建立修行縁起』という古文書には、817年空海は二匹の犬と狩人に導かれて大和国から紀伊の国に入ったと書かれています。
天照御神の妹神・にうつひめのおおかみ
ご祭神は、このおやしろの名前にもなっている丹生都比売大神、その子どもである弘法大師空海を山案内した高野御子大神。同行二人の親子は紀伊・大和地方を巡歴し、人々のために農耕殖産の技術や衣食の道を教え導き、最後に天野の地に鎮まりました。
諸々の災いを祓い退け、一切のものを守り育てる女神である丹生都比売大神は、人が生きるうえで大切な身体の健康、農業、養蚕、織物の守り神と言われています。
このお二人の神と共にお祀りされているのが、広島宮島嚴嶋神社の市杵島比売大神/いちきしまひめのおおかみ、福井敦賀氣比神宮の大食都比売大神/おおげつひめのおおかみのお二人。鎌倉時代に丹生都比売神社の発展に尽くした真言宗の僧侶・行勝上人がこのお二人を勧請しました。
この四神のおやしろ四殿が建ち並びます。その横に少し小さなおやしろに行勝上人がいらっしゃいます。その前から、私たちは手をあわせます。
ここで不思議に思われると「え、なんで仏教のお坊さんが神社をお世話していたの」「お坊さんが神社の神さま? なんかへん」と。
これが本来の日本の宗教のあり方かも
ここ丹生都比賣神社は神官と僧侶によって運営されてきたのです。神社とお寺を無理に分ける法律を明治政府がつくり、施行してしまったもんだから、私たちはお寺と神社を別個にとらえているだけです。
神仏習合の神社には両部様式と呼ばれている⛩があります。こうした神社に旅されると、お役人のバカな分け隔てを実感できます。神仏分離で彼らはなにを企んでいたのか。代表的な両部様式⛩は、日本の鳥居と言えば? ですぐ出てくる安芸の宮島の⛩ですょね。密教の金剛界・胎蔵界のことを両部と言います。
ここ百年あまりで、作り変えられてしまう思考
仏教寺院の弁天さまは、市杵島比売大神とも言われす。財運と芸能の神さまで超有名ですよね、女性になぜだか大人気。弁天さまを信仰したは平清盛公、豊臣秀吉公が有名ですよね、そして平清盛公が再興した宮島嚴嶋神社の後ろには豊臣秀吉公の豊国神社があり、その奥に鎮座するのは弘法大師の大聖院。これが日本の信仰ですね。
高野山の手前にあるのがここ丹生都比売神社から、密教大本山高野山へ上がると山門があり壇上伽藍があり、僧院が建ち並び、神社も有り、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉と名だたるお墓が建ち並び、その奥に鎮座するのが奥の院。弘法大師の御陵。
弘法大師空海は「丹生都比賣神社、嚴嶋神社、氣比神宮に万が一のことがあれば高野山をほっておいても助けに行くように」と弟子に語ったと伝えられています。それほど日本にとって重要な場所であると。弘法大師空海が要と言ったこのパワー溢れる場所を訪ねてから高野山に登られることをオススメします。
丹生都比売神社の左の両部式⛩をでた境内には大峯入峯に際し建てた大峯修験者の碑が立ち並びます。そしてまあるい円に書かれた光明真言曼陀羅碑、写真左端にある『脇ノ宿石厨子』の内部には葛城修験の御本尊『役の行者』の石像が安置されています。ここも超パワースポットと呼ばれています⬇︎
丹生都比賣神社〒649-7141 和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230 8時45分~16時30分
丹生都比売神社のご祭神
【第一殿】丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)
【第二殿】高野御子大神(たかのみこのおおかみ)
【第三殿】大食都比売大神(おおげつひめのおおかみ)
【第四殿】市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ)
【若宮】行勝上人(ぎょうしょうしょうにん)
【境内社】佐波神社(さわじんじゃ)