不思議な雰囲気のやしろ
なぜ日本人はお山や石に対して神の存在みたいなものを感じるのでしょうか。それは自然の恐ろしさや偉大さを感じるんでしょうね。今の時代でも地震は予測もできないし、震災にあったからと誰に文句を言えるものではないと達観しているところが私たち。
大きな岩をご神体としている神社も多いですよね。ここ松尾大社も神さまが降臨する「磐座」が神社の後ろにそびえる松尾山にあります。京都というと碁盤の目の街中にどうしても人は集まりますが、少し外れたところに素敵なところが数多くあるのも京都。ゆったりと京都を楽しみたい人にはオススメの神社さんです。
京都の街中の次に人気がある観光スポットは嵐山ですよね。そこから阪急電車で一駅なのが松尾大社駅。大社といえば島根県の出雲おおやしろです。今は大きな神社、まとめる役目の神社ということで大社という社号がつけられました。全国に多数ある同名の神社をとりまとめる役割を持った神社を指し、確かな歴史のある神社であることを示しているのが〇〇大社です。
この松尾大社の他にも京都では京都市伏見区の伏見稲荷大社、京都府京都市右京区の梅宮大社があります。梅宮大社は松尾大社から川を渡って歩いて行ける距離です。
平安京遷都後は西の猛霊、王城鎮護社
平安時代は東の賀茂神社(賀茂別雷神社・賀茂御祖神社)の東の厳神と対の西の京都を守る神社という位置付けだった松尾/まつのお大社。世界遺産である上賀茂神社・下鴨神社とあわせて京都三大最古の神社とも言われています。17世紀以降はお酒の神さんとして有名になり、今でも醸造家からの信仰の篤い神社です。お酒の資料館もあったりします↓
大山咋神/おおやまぐいのかみ、と中津島姫命/なかつしまひめのみこと別名/市杵島姫命/いちきしまひめのみこと、の二柱を祭神を祀っているのが松尾大社さん。元々は、松尾山山頂にある磐座/いわくらが太古の昔より信仰の対象とされ、その後、この地に移り住んだ渡来ユダヤ人氏族・秦氏が、氏神として松尾大神を祀るようになったそう。社殿と背後の松尾山を含む、約12万坪を境内とします。
一夜にして醸/かもして
松尾大社の祀る神さまがお酒の神様と言われるのは、神さま同士の会議が会った時、松尾大社の山から湧き出ている水を使って大山咋神が一夜にしてお酒を作り、そのお酒がとても美味しかったことからだそうです。この亀の井の井戸の水を入れるとお酒が腐らないという、松尾のお山から湧き出る水のすごさから。
京都には、このような神聖な水が湧くところが何箇所かあります。水の神を祀る貴船神社、その名の通りの清水寺、若一神社。恵まれた水が湧く場所に京の都は置かれたのですね。境内南側の神輿庫前にはたくさんの奉納酒樽が。京都だけでなく、全国のお酒が集まります。
お酒のイメージが強い松尾大社ですが、恋愛成就の神としても有名です。そのため、ハート型したおみくじを結ぶためのオブジェがインスタにあげられたりしてます。結ぶという行為は日本古来から、むすびということでのご利益があるとされています。
「脇勧請」と呼ばれる赤鳥居の上部に榊の小枝を束ねたものが数多く垂れ下がります。このカタチは鳥居の原始的な形体を表すもので、榊の束は十二、閏年は十三あり、月々の農作物の出来具合を占った風俗を現しています。こうした占いは、各地に残っています。
5月のGW前後は花の松尾さん
京都の社寺の魅力の一つにお花があります。ここ松尾さんは京都随一黄色い花をつける山吹の名所として超有名です。
いつの頃か神職さんが植えられた山吹が土地と水にあったんですねぇ、境内をいつしか広く彩るようになった。4月から5月GWまでが見頃ですが、花ですからその年により大きく違います。
6月からは風鈴のまつのおさん
また6月からは手を洗う手水舎の周りや楼門壁に数多くの風鈴が奉納されています。一定の基準でもあるのかごとく、良い音色を聴かせてくれる風鈴の数々。カラフルでもあり、色と音色で私たちを楽しませてくれます。風鈴舎、と言っても神社にはつきものの手の洗いばですが、その横には小川が流れます。川は風をよびこみます、これがいいのですね。風鈴の合奏は6月から夏まで続きます。
松尾大社 〒616-0024 京都府京都市西京区嵐山宮町3
参拝時間/5:00~18:00、庭園・神像館9:00~16:00(日祝は16:30)
参拝料/無料、庭園・神像館500円
電話/075-871-5016
アクセス/阪急嵐山線「松尾大社駅」からすぐ