重くとも五つの罪はよもあらじ 六波羅堂へ参る身なれば
人としてこう人と接したいとお釈迦さまは、私たちが実行しやすいようにたくさんの善い行いを六つにまとめて教えてくださってます。それが六波羅蜜=六度万行です。
波羅蜜/はらみつとは、パーラーミーター/渡すという意味の古いインドの言葉に漢字をあてたものです。人に六つの善いことをわたしてあげる私という。悩みくるしみを忘れ、楽しい世界を未来に渡すためのものと言われています。
六つのうちの一つでもできればシアワセ
六波羅蜜とは、生かされたまま仏さまの境涯、悟るための六つの修行をいいます。
一つは「布施」見返りを求めない施しのことです。布施の行為はお金や物資だけでなく心もそうです。
二つ目は「持戒」道徳・法律は人が作り複雑になっています。それを守ることだけでも大変ですが。ただ盲信するのも危険。他人はあなたのために何かをしてくださるのではなく、その人がトクだから儲かるから。
三つ目は「忍辱」艱難辛苦を耐え忍ぶことができれば、自分が生かされていることを知り、仏さまの慈悲に通じる心が芽生えると言われています。
四つ目は「精進」ひと時も無駄にすることなく、日々誠心誠意物事に励むことですね。
五つ目は「禅定」第三者の立場で状況をみる、立ち位置を帰ることで善も悪も変わることがありますね。
六つ目は「智慧」貪りや怒り愚痴によって、あなたの智恵を曇らせてはいけません。
この六つを持ってして個人レベルの幸・不幸の視野を超越して、宇宙的な観念の世界観を持つことが「六波羅蜜」です。
六波羅蜜の反対は、ケチで約束を破り、短気で落ち着きがなく、いつも不平不満、妬み嫉み。自分によくしてくださった人にさえ文句を言う。
自分のことだけ、わががトクになる事しか考えず、周りの人に自分が生かされてるなんて感じない人。
誰もそんな人と付き合いたくありませんよね。だから六波羅蜜の一つでもしなさいと。
ひとたびも南無阿弥陀仏という人の はちすの上にのぼらぬはなし
六波羅蜜寺の創建者は、誰でも知っている空也上人。上の言の葉は空也上人の詩。あの口から6体の阿弥陀さまをはいている姿の像の写真を教科書で観たことがない人はいませんよね。空也上人は醍醐天皇の第二皇子、つまりは皇族ですね。高貴な身分に生まれながら権威に染まらず、あくまで市井の人々のために説法を行い、六波羅蜜を説いた人でした。【市聖】いちのひじりの別名もそれ故です。
京都で今のように疫病が蔓延した時、と言っても今よりもヒドイ状態だったとは推測できますが。お茶を配り、念仏を唱えることで人を癒した。今の時代のウィルスも日本茶のカテキンが効果があると言われていますが、千年以上前からこの国ではお茶の効能は解っていた。
応和3/963年、病魔を鎮めようとご自身で彫れれた十一面観音立像を荷車に乗せて市中を曳きながら「南無阿弥陀仏」と念仏を唱え、お茶を振る舞い続けたのが空也上人と言われています。
教科書の「空也上人立像」は13世紀鎌倉時代に運慶の四男・康勝が上人の姿を写実的に表した像で、この六波羅蜜寺の宝物館でまじかに観ることができます。
なぜか、悪人顔でしか表現されない清盛公の穏やかな本当のお姿も宝物館で観ることができます。穏やかな顔をされている平清盛坐像を知ると、時代の権力者によって平家=悪とイメージ操作されているのがよくわかります。今のマスコミがしていることとなんらいつの時代もかわらないということ。
一ノ谷の合戦は、上皇からの和解の詔を無視した騙し討ちだったと言う事実は伏されて、源氏が勝った! 勝てば歴史なんて書き換えられますからね。本当を自分の目で確かめることです、世の中がそう言っている、NHKがそう言っているの大半は嘘だと思い、自分の頭で考えてみることですよね。
あの世とこの世の境がこのち鳥辺野・ドクロ原
彼岸のあの世と此岸のこの世が交差する地点。鴨川の東側の地域は京都の葬儀場とされていた鳥辺野があり、その入り口にもなるのが六波羅蜜寺がある、古くからお寺さんが多い地域。六波羅さんのすぐ近くの六道珍皇寺には『おじゃる丸』のマロのモデルとも言われる閻魔大王とお友だちの実在した人物・小野篁の六道さんがおられます。
現代でも葬儀場や焼き場の近くは不動産物件としては人気はありませんよね。そのためこの地域にお公家さまが住まわれることはなかった。それで武士たちが住まいを設けた。六波羅さんの近所は平家の武将たちの住まいが数多くあったと記録されています。最盛期には五千軒以上にも。ここは伊勢街道が近く、伊勢を拠点としていた平家には便利であったこともこの地を選んだ理由でしょうが。
【六波羅探題】と歴史で学んだ、あの六波羅もここ六波羅蜜寺のこと。平家のあとの鎌倉時代、源頼朝は妻・政子の父である義父・北条時政に「京都守護の職」を与えます。その庁舎が六波羅、しかし鎌倉幕府が足利尊氏らに倒される段になると、六波羅は再び兵火にみまわれます。
恨みつらみから、病気になりそして人は死んでいく
Potalakaの音写が補陀落。インド南端の海岸にあり、観音が住むという八角形の山をいいます。日本でも観音さまの霊地にはこの名が多いのです。そしてここ六波羅蜜寺も【補陀洛山波羅蜜寺】観音さまの霊場ですから、西国三十三所の一つです。
阿古屋の菩提を弔うための石造り宝塔と平清盛公の菩提を弔うための宝塔があります。初出稿/2022年3月9日
京都六波羅蜜寺
所在地/〒605-0813 京都市東山区五条通大和大路上ル東
山号/補陀洛山
宗派/真言宗智山派
ご本尊/十一面観音(国宝)
創建/天暦5/951年
開基/空也
料金・宝物館拝観料/大人600円大・高・中学生/500円小学生/400円
時間8:00~17:00 ※行事によって変更あり
交通アクセス
市バス「清水道」下車、徒歩7分
京阪電車「五条駅」下車、徒歩7分
阪急電車「河原町駅」下車、徒歩15分