古代いわくら信仰の聖地越木岩神社
不思議なのだが、兵庫県はなぜだか神社仏閣のイメージが薄い。京都、奈良、和歌山なら寺社仏閣がありとなるのだが。この原因のひとつが明治時代のお寺さんと神社を分けたことにあります。播州、摂津国には古墳群も多く石にまつわる話や、それを信仰する宗教がありました。それでなくても六甲山自体が信仰のお山であったりします。
六つのかぶとを埋めた山と言われたりする六甲山。その東端にあるのが甲山。独立峰のような綺麗な形の山です。私は毎日この山をみながら登校していましたので身近な山ですが、不思議な気がある山で、それは一度登られるとわかると思います。
この甲山の南のすその、お隣にあるのが越木岩神社。昔からの【いわくら信仰】の土地で、原始宗教と言う人もいます。原始的と言われるとなんだかバカにされたような稚拙な宗教？ なんてイメージ操作されてしまいますが違います。明治時代までは神道、仏教、アニミズムはおんなじに祀られていたのが日本です。
神道のはじまりはいわくら信仰
ありの熊野詣でとまで、天皇家から庶民まで流行した熊野三山のはじまりは【いわくら信仰】。ゴトビキ岩のある神倉神社、それと対をなす花の窟。日本最古の神社が花の窟とも言われています。
六甲山は古くは火山と言われていましたが、今では火山ではないと。日本三古泉の一つ有馬温泉が六甲山の北に位置するので、六甲がかつて火山だったんだということで教科書にも1970年代までは火山でしたが、、休火山、死火山、活火山は日本中いたる所に存在しています。火山がある所に温泉が湧き、そして地震が起こる。
六甲山は加工しやすい花崗岩でできています。お墓の石に使われるものです。石としては、あまり硬い石ではありません。六甲山上にはこの花崗岩の巨石がたくさんあります。そしてそれは何に使われたか？ それが古墳の墓石。あるいは戦国時代は城の築城のための石に使われました。今は墓石に使われます。
この岩を切り出そうとしていた池田備中守長幸の家紋の刻印
名前の由来でもある甑岩
周囲約40m・高さ10mの巨岩「甑岩（こしきいわ）」が御神体。その形が酒米を蒸す時に使う「甑(こしき)」という道具に似ていることから「甑岩」と名づけられたものと言い伝えられています。
『この神の鎮まる霊岩を大阪城築城のために切り出そうと、村人達の制止の懇願にかかわらず、豊臣秀吉が石工達に命じて割らせていたところ、今にも割れんとする岩の間より鶏鳴し、真白な煙が立ち昇り、その霊気に石工達は、岩諸共転げ落ち倒れ臥し、如何にしても運び出せなかったと伝えられています。』
女岩があれば、男岩があります。それが｢北座の磐座｣
マンション建設、区画整理、道路工事などのために御神体や墓所を移動させようとすると、上記のような異変が起こったと言う話は日本各地にあります。秀吉の時代にも、神祟りとも思える不思議な出来事が起きたということなのでしょう。
そのモモのような形状から女性守護、安産・子授けの御神徳があるとされてます。女岩ですね。岩の手前には女神である市寸島比売命/いちきしまひめのみこと（弁財天）がお祀りされています。
越木岩神社の不動明王が切り取られる事件
1994年末に越木岩神社境内にある霊水が湧く横に立つ不動明王の石像が切り取られると言う事件がありました。1995年1月17日に阪神淡路大震災が起こり、地元では不動明王のたたりだと言われたのです。現在は新しく創られた不動像が見守ってくださってます。
このあたりは、なぜか方位磁石がくるうと言われています。私も確認してみましたが、確かに針が北を常時さすのではなく変に動きます。
越木岩神社は坂の上にある神社です、最寄駅の阪急「苦楽園口」駅からだと、そこそこの登りで15分です。アスレチックシューズでどうぞ。また、周りは閑静な住宅街で、コンビニなどもありません。水分補給用の水などは駅前で。
貴船社、祭神は龍神。雨乞いの霊験あらたか
越木岩神社は実は大震災が起こったことで祀られた神社
神社として創始されたのは600～700年頃と推定。この時代に起きた大地震を機に地鎮を目的として大地を司る神、大地主大神（おおとこぬしのおおかみ）＝大国主大神が祀られました。千年以上前の『延喜式神名帳』には、越木岩神社は「大国主西神社」という名で記されています。
越木岩神社〒662-0092 兵庫県西宮市甑岩町５−４
