コンコンチキチンと鳴る鐘かと
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とはじまる『平家物語』を聞いたことのない人はいない。祇園とはインドのコーサラ国(拘薩羅国)の祇多太子が所有していた林のことで、「精舎」とはお寺。元々は「牛頭天王社」だった祇園さん。あまり八坂神社と言わずに祇園さんと呼ばれるのは、八坂神社という名称が明治政府からつけられた俗名みたいなものだから。御神体で仏教色のあるものは廃止するのが明治政府が行った「神仏分離令」。
【祇園祭】は7月1日から始まり31日の「疫神社夏越祭」まで丸々1ヵ月通して祭事が行われ、特に「宵山」と「山鉾巡行」には全国からも多くの方が訪れます。その歴史は平安時代にまでさかのぼります。
平安時代の貞観年間859-87年の間には、富士山、鳥海山、開聞岳が噴火し、播磨国大地震や貞観三陸地震が起きていました。また朝鮮半島から新羅国が九州へ軍事侵攻して日本領土侵犯しに来ています。もともと日本にはなかった天然痘ウィルスなどが海を渡って入り、感染病が日本に蔓延していた時代。今の時代と似ていますが、他国から持ち込まれ感染病が京都にも蔓延していました。
疲弊した状況の日本の当時の首都、京都で貞観11/869年にはじまったのが祇園祭です。当時の国(今でいう都道府県)の数と同じ66本の矛を立てて、祇園社から神輿を中京区神泉苑に送り疫病退散を祈願した祇園御霊会が祇園祭のはじまりとされています。牛頭大王を祀って、流行り病を鎮めようとした神事です。その牛頭大王を姫路の広峰神社から来ていただく時に、辿った道には祇園神社が祀られています。
山鉾巡行・神輿渡御は疫病のため2022年は開催予定
祇園祭のはじまりでも分かるように、当時の疫病によって無念にもお亡くなりになられた私たちのご先祖さまが、お盆のこの時期に帰ってこられる。悲しみや悔しさをまだどこかで持っておられる御霊もいらっしゃるかもしれない、そこから来る不運が今の世にも出現しないようにと。日本は御霊を信じると言うことがあるから、御霊が悪さをもたらさないようにお祭りでおもてなしして、また帰っていただく。
どうしてもマスメディアのイメージ操作で祇園祭というと山鉾しか思い浮かばない、イベントとして私たちの神さまへの祈りを扱ってはいけませんね。祇園祭には神輿も担がれます。疫病退散の意味を込めた祇園さんの神事ですが、なんと武漢ウィルスによって中止になるとは。祭り全てが中止されたわけではないですが、祭りのメインとも言える山鉾巡行・神輿渡御は2020,2021年は中止です。昭和37年阪急電鉄の地下工事による中止以来58年ぶり。応仁の乱や第二次世界大戦でも中止されています。
山鉾巡行や市内中心部が歩行者天国となる宵山などに大勢の観光客が押し寄せますし、山鉾に乗り込む人らも密集・密接になることから、新型コロナの感染拡大が懸念されて従来通りの実施は困難と判断したとのこと。残念ですが。
山鉾が巡行するのは土地を鎮めるため
祇園祭ですが、山鉾巡行は京都の繁華街である四条から北の御池通まで巡行するのですが、そのイメージが強くて「どこの神社さんのお祭り?」と知らない方も。祇園社=八坂神社のお祭りです。これはだんじり祭りなどにも言えることで、山車、地車や神輿が練り歩くので、その光景は観ても、肝心の神社さんへ「お祭りをみせていただき、ありがとうございました」の参拝がなかったりと。
八坂神社は明治の神仏分離でそれまでの「祇園神社」から八坂神社へと改名。ただ現在でも「祇園さん」と呼ばれ親しまれています。その主祭神も明治からの素戔嗚尊ではなく、疫病神として名高い牛頭天王/ごずてんのうでした。牛頭天王は仏教の開祖・釈迦の生まれた場所と言われる祇園精舎の守護神です。
祇園祭オススメコース
祇園祭を楽しむのに私のオススメは「宵山」です。本来山鉾巡行の前日のことですが、今では7月14日~16日・21日~23日の期間で行われています。通りのあちらこちらに山鉾がそびえ立ち、それにまつわる展示や販売所や屋台が並び、縁日の屋台も並びます。ただし縁日は特定日だけ。
1日オススメコースは午前中に八坂さんへお参りして、茅の輪くぐりをします。昼間は山鉾巡りして、夕方からみたらし団子を食べながら山鉾のライトアップを子どもと観てました。
2020年2021年は山鉾巡行・神輿渡御は中止ですが、茅の輪は7月1日から設置されます。
宵山は前祭が7月14日~16日、後祭が7月21日~23日になり、駒形提灯が灯され、祇園囃子が奏でられます。山鉾巡行は前祭が7月17日、後祭が7月24日になり、山鉾が都大路を巡行します。♩初投稿日/2020年6月
2024年祇園祭
7月12日~7月13日各町前祭鉾曳き初め
7月14日~7月16日前祭宵山(宵々山)7月16日前日和楽祭
7月17日前祭山鉾巡行/四条烏丸~四条河原町~市役所~烏丸御池~新町御池 7月17日神幸祭7月17日 神輿渡御
7月20日後祭鉾曳き初め
7月24日後祭山鉾巡行/烏丸御池→河原町御池→四条河原町→四条烏丸
この他にも行事があります。詳しくは
京都三大祭り/ 時代祭 葵祭
八坂神社/主祭神は素戔嗚尊・櫛稲田姫命・八柱御子神
〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側625
「京阪祇園四条」駅から徒歩5分、「阪急河原町」駅からも徒歩で8分